追記(2023/8/18):DLCの感想も書きました。
ネット上の感想として「記憶を消してまたやりたい」という趣旨のものばかり見るのでプレイしました。記憶を消してまたやりたい。
あまりにいい作品だなぁ……!と思ったので感想を書きます。本編クリア後に読むことを推奨します。クリアしていない場合は、今すぐ閉じて、プレイしてください。あと、プレイ済みの人向けの単なる感想なので、物語の内容などが分かるような文章ではありません。(なので、先にプレイしてください)
どうしてもクリアできない人向けに、念のために私なりのヒントを置いておきます。
- 出発の前に毎回航行記録を、念入りに、穴の開くように、隅から隅まで、読む。あなたや私よりもよっぽど上手に情報を整理してくれています。私がプレイした限りでは、一か所を除いてはメモ書きやスクリーンショットを使用しなくても航行記録を読むだけで進められます(深読みと試行錯誤は要るかもしれない)。しかも未探索要素がある場合はご丁寧にちゃんと言ってくれる。
- 無重力状態で操作に困ったら、まず、速度同期する。あなたや私よりもよっぽど上手に速度を同期してくれます。ただし逆噴射に関しては4目盛りまでしか使ってくれないので、本当に正面衝突しそうな場合は速度同期ではなく素直に後退(5目盛り)する。
- 行ったことのある場所を再訪したい場合は、以下の手順で安定して行けます。
- 航行記録でマーカーを付ける
- シートベルトを締める
- マップを表示して行きたい惑星にロックする
- 発進してしばらく真上に上昇する
- マップか目視で太陽の反対側に目的地がないことを確認してから自動操縦を開始する
- 自動操縦が完了したらおおまかにマーカーが惑星の同じ側に来るまでざっくり移動する
- 発進/着陸カメラで目的地まで移動する。発進/着陸にしか使ってはいけないルールはない
- ゲーム開始時の惑星の位置は基本的に固定なので、最速で自動操縦を開始すると、無事に到達できる星・木の炉辺に突っ込む星・確定で太陽に突っ込む星などがあります。そこは覚えること。
- ショートカットになる通路が何か所かあり、それも航行記録に記録されない場合があるので、覚えること。
執筆時点ではDLC初見プレイの権利を大事に温存しているので、本編のみの感想です。
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全般的な感想とか
- 好奇心駆動型のゲームデザインがまずすごい。ループものを作るならループを超えて引き継がれるフラグとか作りたいだろうな、と想像するところを「22分のループで記憶(と航行記録)以外は何も引き継げない」とバッサリと全部切り詰めていくデザインがすごい。ネットを見ると「神ゲーではあるけど、最初はなにすればいいか分かんなくて不親切ではあるよね」という意見もままあって、私もそれには賛成だけど、それを承知の上でこのデザインにしたというのがこの作品の「強さ」だなぁだと思いました。
- ディレクターの修士論文によると「宇宙への好奇心、いいよね」というのが主なモチベーションだそうです。宇宙、いいよね……
- ラストの先進的ワープコアを取り外す下りがすごい。これを取り外した後に万が一(主にアンコウで)死亡してしまったら今まで得てきたすべての記憶(=セーブデータ)を失う可能性すらゲームシステム上は考えられるけど、ここまできたらもうそれすら失ってもいい、最後への道筋はプレイヤーである私が覚えているから、と思わせてくれる綺麗な収束のさせ方がすごい。信頼させてくれる作り手とはこういうのですよ。
- クリアした後に気づいたけど、宇宙の眼の座標は普通記憶できないから消さないですよね。セーブデータを進行上の都合とかではなく普通に消してくるタイプのゲーム(ネタバレになるので名前は割愛)を何個かやったことあるから普通に疑ってしまった……
- 古代文明の遺跡があるのはいいけど、その辺に白骨死体が置いてあるのはあまりに美術が雑じゃない?とか、灰の双子星には星の並びからして太陽の塔もあるけど、太陽の表面にワープゾーンとか置けなくない?みたいな、ちょっとしたディティールに対してすべて明確な答えがあるのがいい。あと目を開けた時とか被ダメージとかにちゃんと目が4つあるのが地味にすき。(でも見たところ同じような性能の目が正面に4つあるのは生物学的に意味があるんだろうか?)
- プレイ時間は15時間くらいでした。といっても、宇宙に思いを馳せながら雪うさぎの開発を1時間進める、と2ループくらい宇宙の藻屑になる、を交互に繰り返していたので、考える時間を込みにすると実際はもっとプレイ時間長いです。
その他プレイ中に細かく思ったこと
- 量子の月が目覚めたときに一瞬目に入ったり、軌道探査砲の発射方向が毎回違っているのは気づいていて、後者はたぶんストーリーの一部(メタ読みすると、毎回違う方向に配置するほうが実装が大変だから)だとしても前者は「これバグでは?初期化し忘れるのよくあるよね(笑)」と思っていて、でも北の氷河かどこかでその法則を「理解」して、制作者の皆様ナマ言ってすみませんでした。私の負けです。
- 湖底の洞窟の石付近の砂の流れがネズミ返しになってるところとか、メタ的ではあるけどていねいにヒント(「石を何とかしないとここから先へは進めないよ」の意)を与えてくれてるデザインがいいなと思いました。
- 量子の月はマジでアプローチの直前まで確実に観察している必要がある(直前まで写真を連射している必要がある)と思っていて、でも偵察機を宇宙空間で停止させるのは困難だから、ということで、探査艇を月の前に停めたうえで偵察機を探査艇に張り付けて連射しつつ宇宙服一丁で突入していました。落下がめっちゃ痛かった。
- というか、過去に写真を撮ったことがある=人間に意識されている=量子的に観測されている、というのが若干納得いってない。過去に撮った写真が許されるなら、肉眼で見た記憶を保持しているだけで条件を満たすのでは?
- この手のマクロな問題に対して「現在の技術では精度的に測定できないから」とか言って逃げた某拙作もある。
- 逆に、事前に量子試練の塔でさんざんビビらせてきた割にはそんなに謎解きが難しくなくて拍子抜けでした。まああれNomaiさんたち的には義務教育みたいなもんらしいから、人間基準で言うと小学校六年生の時に「中学の勉強はもっと難しいんだぞ」と言われてるようなものなのかもしれない。
- 最後よく分からないあいまいな超自然的空間に到達してエンディング、というのは個人的にはあまり好きではないんだけど(某ではその意図も込めて逆に超自然的現象をすべて壊して締めてますからね)、この作品に関してはそこまでの道のりと音楽とマシュマロの重みがあるから許せるなぁ……という感想でした。
- アンコウ、あいつはダメ。いなくなっても惜しまれない。
- ブラックホールもダメ。何度落下したことか。
- 砂もダメ。手元にあるポモドーロ用の砂時計が怖くて直視できない。
- クラゲは一応味方してくれたので許す。(でも最初は上に乗ってみたらバチバチになった)