「アスタリスクの花言葉 技術だけではゲームは生まれない」について

この投稿はアスタリスクの花言葉 技術だけではゲームは生まれない VRchatに対するレスポンスです。VRChatワールド「アスタリスクの花言葉」のネタバレを含みますのでご注意ください

この記事は筆者が「アスタリスクの花言葉」をプレイした感想として全うなものであるとは思いますし、このワールドを楽しめなかったのなら単に私の技量不足が原因です。匿名の投稿ではありますが、この作品の核心への言及を避けつつ問題点を明言していただいたことにまず感謝します。

ただ、事実と異なる点や誤解と思われる点がいくつか述べられていますので、私の方から何点か補足しておきます。以下、引用形態になっている箇所はすべて同記事からの引用です。

・特定の映画の知識(20年以上も前の作品)が必須

インターネットを利用する必要があることは下記の通りアナウンス済みであり、該当する部屋の謎は書いてある文字列をGoogleで検索するだけで(記事執筆現在)次のヒントにたどり着けるように設計しています。また、それ以外の複数のヒントもすべて同じ映画につながるようになっています。

また、該当する映画は複数の映画配信サービスで配信されているほど著名な作品であり、解答が困難になるほど入手難易度が高いとは考えていません。

・特定のヒントを得るにはリアルタイムの時間経過が必要

該当する箇所は長時間連続してログインすることを強要するようなものでありませんし、プレイ集団の中の一人〜数人がプレイ期間のどこかのタイミングで該当する時間帯(一日のうち12時間)に数分程度ログインすれば達成できるものです。また、プレイ時間が最短で数日であることは最初の部屋に明記してあります。

・特定のインディーズゲーム(作者が個人的に好きというだけの物)をプレイしないと分からない謎解き

謎の性質上、該当するゲームをプレイする必要はありません。実際、「プレイしてないならぜひおすすめします」という旨を作品内で明言しています。

・現実の特定の場所に行かないと分からない謎解き(地方に住んでいる人は交通費をかけて行かなければならない)

これに関しては事実です。以前行った統計調査では日本のVRChatユーザーは全国的に分布しており、推奨するプレイ人数から考えてプレイ集団内の少なくとも一人は該当する場所に現実的な費用・時間で到達できると考えてこの問題を設定しました。また、この問題には(この作品の最後の演出で言及されるように)VRChatと現実世界の関わりについて考える何らかのきっかけとなってほしいという意図を込めています。筆者は最後までクリアされているようなのでなんらかの方法でこの謎の答えを入手したのだと思いますが、この謎で完全に詰んでしまうグループがあったのなら申し訳ありません。(2019/9/18追記:現地に行かなくても解ける方法が(第三者により)追加されました。これに関してはこっそり黙認します)

・unityを弄らないと解けない謎解き(ゲームをクリアするためにゲームエンジンを弄るというのはもはやゲームから逸脱しているのでは?)

これに関してはどの部分を指して言っているのか分からなかったのですが、この作品にはUnityを使用することが必要となるような謎は含まれていませんし、その旨は最初の部屋に明記してあります。#04の最後で言及されている点については単なるおまけ要素であり、これを見なくてもエンディングを見ることはできます。

エンディングには「VRchatの全プレイヤー同士が協力する様こそこのゲームの真実」などと哲学めいたことが言われていたが、

(単なる誤解だと思いますが)このようなことは言っていません。原文をそのまま引用すると「このワールドを作った理由は、単にフレンドと一緒に時間を過ごすためのきっかけにしてほしかったから」です。実際、「インスタンスをまたいでプレイヤー同士が協力する現象」は公開前はほとんど予想しておらず私も驚きました。

エンディングメッセージを要約すると「コンテンツはすぐに淘汰されてしまうけど、君たちが協力して謎を解いたこの時間はプライスレスでしょ?このゲームの事を忘れないでね」というものであった。

おそらくこの点が最も筆者がストレスを抱いた点だと思いますが、これに関しても誤解と思われます。同様に原文を引用すると「アスタリスクの花言葉(私たちの意思)がこのワールドで過ごした時間によって少しでも忘れられないものになったのなら……」で、「アスタリスクの花言葉」の部分については2系統の出力(ネタバレ防止の為ぼかし)で表現が異なっています。このタイトルには「アスタリスク=正規表現の*=『みんな』」の「花言葉=『想い』」という意味が込められているため、丸括弧内の表現が要旨になります。この要旨はエンディングの後半部分でも繰り返し言及されていますが、この箇所自体に関しては単純に表現方法が甘かったと思います。

この作品の謎の難易度については、公開後の評判を見るかぎり私の想定よりもかなり高かったようで、これに関しては私の技量不足だったと認識しています。ただ、前述の引用やこの作品を公開する10日前に公開した記事で言及しているように、「VRChatのワールドは人と接するための『添え物』であり、コンテンツの本質ではな」く、「仲のよいフレンドと一緒にプレイすると盛り上がるような要素」を私なりに考えて詰めていった結果があのような謎になっているのであって、決して多くの人を無為に長時間拘束したり作品に注目を集める目的で制作したものではありません。

また、この作品の形態については、

  • タイトルやワールドの雰囲気が謎解きワールドとしては不可解であること
  • 最初の部屋の注意書きや途中の通路で見られる額縁の不穏さ
  • 私の過去作品の作風

などから「このワールドは行儀のよい謎解きゲームではなく体験型の作品である」ということを察してもらいたかったのですが、記事で言及されているように広報が不十分だったように思います(言うまでもなくこれを直接言及しなかったのはネタバレ防止のためです)。今後何らかの作品を制作する場合はより一層磨きをかけていきたいと思いますのでよろしくお願いします。