LC新京都だより(2022/6)

新しいVRChatワールドを作り始めました。

「LC新京都ブランチ(LC New Kyoto Branch)」1は雑多な3Dモデルや雑多なギミックを展示するワールドになります。ノリでいうと「一日前。」に近いものではありますが、PSF以外のコンテンツもいろいろ置きたいので新設することにしました。

技術的な面でいえば、このワールドは「うさぎ」のためのスキルアップと各種開発ツールの動作検証・課題の洗い出しも兼ねています。やっぱり「1%の仮想」から年スパンで作業する大作主義がだんだん強くなってきていて、そうすると「特に技術力は上がらずにだらだら作業する期間」が増えていってしまうので、思い切っていろいろ新しいことをして力をつけたほうが「うさぎ」のクオリティアップにもつながるだろうという判断です。そんなわけで、「うさぎ」用に開発した「ライトプローブをきれいに置いてくれるくん」とか「マップのマテリアルをきれいに貼ってくれるくん」とかを輸入して、見つけた問題点をうさぎに逆輸入するようなことをしています。

Public公開時期はまだ未定ですが、(過去作のようなパッケージ化された作品とは違って)公開後も拡張できるようにはなっているので、今月から来月くらいには出せるんじゃないでしょうか。たぶん……

というわけで、ここから下はいつもの解説です。


梯子について

PSFでは「ストーリーがメインコンテンツとして進行するワールドなので、1~数人全員がクリアできないギミックを絶対に置いてはいけない」という強い制約が存在していました。ただ、「新京都」では、それがないので、好き放題やります。こんなんだから「おのれ」とか言わるんですよ。

技術的な詳細は一年半前に書いてたのでそれはそっちに譲るとして、新京都では微妙に機能を強化しています。具体的には見てのお楽しみとなりますが、ほら、難易度上がってもいいならできることってまだ他にあるじゃないですか。動いたりとか。


ナビゲーションシステムについて

VRChatで無駄にだだっ広いワールドを作ると、来た人は、たいていの場合、迷子になります。ことVRChat(というかVRメタバース/ソーシャルプラットフォームすべて)ではだれか他の人に会いに来るのが結構なプレイ動機だったりするので、「メニュー画面では他のプレイヤーが同じワールド(ルーム)にいるのが見えてるのにどこ探しても合流できない」という状況は結構なフラストレーションが溜まってしまいます。なので来訪者絶対迷わせないシステムとしてナビゲーションシステムを作ってみました。……というのは建前で、これは「うさぎ」でもバシバシに使う機能なので、その試作と使用感のチェックのために作っているのがだいたいの動機です。というかこういう機能、展示会系のワールドに標準搭載してほしいっすよね。

この機能は「片手または両手を顔の前に近づける」という珍妙な条件で発動します。というのは、この条件がどんなトラッキング手法のデバイスでも共通して行える動作で、かつ(視覚による情報のインプットに頼りがちな)VR環境では普通まず意図的にはしない動作なためです2。あと「手をシュッと動かす」系の条件は他のプレイヤーといちゃいちゃしたり梯子を使っているときに誤爆する可能性が非常に高いのと、アバターのスケール3やらトラッキングの精度やらでうまく動かないプレイヤーが出てくるのが想定されるために採用していません。

「ナビゲーションのためのギミック」のボツ案としては他にもいろいろ考えていて、

  • PSFと同等の自動リスポーン設定+マーカー表示
  • 主要な部屋と全プレイヤーをマーカー表示
  • 館内にレールが敷かれていて手で持つと自動で移動できる(The Moriリスペクト)
  • 小型のNODキャリアに掴まると自動で移動できる
  • ルンバ的なのに乗ると自動で移動できる
  • 道案内の標識が動的に変形して部屋とプレイヤーの方向を表示
  • 主要な地点への相互テレポート設備を設置する

みたいなものがありました。しかし、「ワールドのどんなところにいても情報にアクセスできる/主要な合流ポイントに移動できる」、「ギミックを使用しないときは極力関係するオブジェクトやUIを非表示にしてLC施設の雰囲気を味わえるようにする」、「テレポート等で未見の場所にいきなり行ってしまうことのないようにする」、「狭い場所や上下移動でも快適に移動できる」、「経路の計算または敷設を自動化できる」というような条件を考えていった結果、上の動画のような形式になりました。

この機能、「場所は表示されるけど他のプレイヤーは表示されないじゃん」というツッコミがあって、それはごもっともなのですが、上の動画は一人で撮影しているだけで実はワールド内にいる全プレイヤー分の経路が表示されます。それはそう。