2018年の個人的まとめ

注意:お気持ち文書です。そういうのが苦手な方は読むのをお控えください。なんかTwitterを観察する限りVRChatユーザはお気持ち表明が好きらしいのでこういう文章で今年のまとめをします。2018年現在のバーチャル一般人から見た仮想世界の考察に関する怪文書も1つくらいはインターネット上にあってもいいと思うので。

今年はVR界隈、VTuber界隈、VRChat界隈、そして私にとっても激動の1年になりました。Oculus Goが販売されて一般ユーザにもちょっとだけVRが普及し、YouTubeには数千人のバーチャルユーチューバーが突如出現し、VRChatではねこますさんの激推し等に端を発してユーザ・アバター・文化が急激に発展し、20代男性である私もバ美肉してなぜか(誰とも顔を合わせずに)個展を開きました。ここまでスピーディにかつ急峻に情勢が動くインターネット界隈は私からみても非常に特異な現象だと思っています(または私もそのなかにどっぷりつかってしまっていて井の中の蛙になってるのかも)。初音ミクをはじめとしたVOCALOID・VOICEROIDが「声の民主化」だとすれば、上記のようなバーチャル文化は「世界・容姿・『本質』1の民主化」みたいなもので、こう考えるとこの盛り上がりも納得と言えるかもしれません2

私個人としては、HMDを日常的に被りはじめる前と後では(以前と比べるとちょっとだけ)外交的とかポジティブな性格になったような気がします3。これも誰かが言っていたように「容姿が美少女になると人への好感度が思いっきりバイアスされる」という現象だと思うのですが、フレンドの可愛さ(外面と内面の両方を含む)に日々悶絶したり、知り合いのVTuberさんのマッハ新書を読んでみたり4しています。ここまで書いてみると完全に宗教のたぐいですが、実際毎日楽しく過ごせて少しは有益なアウトプット(例:個展)ができてるので別に宗教でもいいかと思います。私は発話が極端に少ない性格5で「他人とのコミュニケーション」に関してはいろいろ思うこともあるのですが、これに関してはちょっと別の形でアウトプットできればいいかなと思っています。

外部の人間からは理由が理解しづらいかもしれませんが、VRChatterの皆さまにおいては「VR」という概念に何らかの「エモ」とか「ライブ感」とか「特別感」を抱いている人も多いかと思います。おそらく、この文章を読んでいる人は「VR恋愛」みたいな概念や拙作「1%の仮想」、パーティクルライブ・VRアートイベント・某ーストクラブの「デ」、または誕生日イベント等で多少なりともHMDを被りながら心を動かされる経験をしたことがあると思います。「1%の仮想」についてはエゴサしていると「最後の作品で泣いてしまった」という方が何人かいらっしゃったようで、作者としては本望に尽きるのですが、あの作品についても「本質」と「仮想」部分の落差を作品として形にしただけで、作品の本質は私たちの(VRChatを終了したときに感じる)あの感情そのものです。こういった「VRにおける『エモ』の具現化」みたいなのは映画「Ready Player One」で描かれた「VRが実現したらまず作られるであろうエンターテイメント性あふれるコンテンツ」とは真逆の方向を行っていると思うので、来年もどんなエモが発生するのか個人的にはとても楽しみです。

一方で、個人的にはこのムーブメントも「井の中の蛙」感が否めないと思います。実際「バ美肉」や「VR恋愛・結婚」という概念は一般的な人にとってはドン引きする文化だと思いますし、実際私もリアルでそういう話をしてみても軽く引かれます6 7。VRChatの日本コミュニティについても、(主に語学力の問題で?)あまり海外コミュニティとの交流が行われていないように見えます8。この文化が現実世界や他の仮想世界で生きている人たちにまで浸透するのか、または単なるインターネット(または日本)におけるイロモノ文化のひとつとして終わってしまうのか、2019年も目が離せません。

ただ、私はお気持ち表明要員でなければバーチャルリアリティに関する専門家でもないので、上で書いたような現象を論じるつもりもないですし、現実一般人(⇔バーチャル一般人)に啓蒙とかもするつもりはありません。2019年も相変わらず「1%の仮想」のようなよく分からないもの9をよく分からないタイミングでポッと出すことを続けようかと思います10

今こそこそ作っている作品は「★の花言葉」(仮称、あとで変更します)という名前のVRChatワールドになります11 12。ゆっくり作業するので公開は来年春ごろとかを予定しています。また、個展を開いた直後にちょっとだけ公開したDiscordチャンネルにて「Beyond Reality」という合同アート作品ワールドも計画しています。

それでは、来年もよろしくお願いします!

  1. ここでは「容姿や地位のような半先天的なバイアスが取り除かれることでヒトの人格そのものが魅力として解釈される」みたいな意味です。VTuberとかVR恋愛とかってたぶんそういうことですよね
  2. 一方で「VRChatはSecond Lifeの二番煎じである」という言説もちらほらあります。確かにVRChatに見られる「アバター」=「人格」の文化が既存のバーチャルソーシャルで既に通ってきた道という点については同意ですが、個人的には「非VR」と「VR」には没入感において越えられない壁があると思うので、完全な二番煎じであるとは私は思いません
  3. 実際はバ美肉効果というか、くりっとした目の希望溢れた顔になっている手前、ネガティブなことが言いづらいんですよね……
  4. 神主スタイルのカンナさんが見たいです!!!
  5. ほぼ無言勢なのも「声を出したくない/出せないから」ではなく「話すことがないから」が主な理由です
  6. 個人的にはVR恋愛という概念には「いいぞもっとやれ」という立場です。「現実世界で出会ったら友人止まりであろう2人がVRを経由することで恋に落ちる」というのはとても素敵なことですし、科学技術の大勝利じゃないですか?
  7. ただ実際これらってLGBTの概念が浸透している現代で差別されていい概念ではないんじゃないですかね?
  8. 普通の日本人は日本語でのコミュニケーションコストが他の言語より圧倒的に低いので、日常生活を快適に送る上では正しい選択ですが……
  9. 実際あの作品もSteamVRに「通い慣れた」人しか本質を理解できないと思うので、ハナからVRChatユーザ以外は考慮していないのですが
  10. というか本職が超忙しいのでこれ以上リソースを割けません
  11. 実際はちょっと違うのですが、この作品を表す適切なジャンル名を私は知らないので「ワールド」と称します
  12. 実はこの作品はもうはじまっています!